【なぜ土地によって建てられる建物の大きさが違うのですか。】
土地を購入する前にその土地にどのくらいの規模の建物が建てられるのかを知っておくことが重要です。
土地には、各自治体によって「用途地域」が定められています。
用途地域は大きく分けて、住居系、商業系、工業系の3種類に分けられます。
それぞれ高さ制限、斜線制限、容積率、建蔽率等が決まっています。
もう一つ見落としがちなのが、土地に接道している道路の幅員です。
前面道路の幅員が12m未満の場合、道路幅員によってもその土地に建てられる建物の大きさが変わってきてしまいます。その幅員には、容積率が関係してきます。
道路幅員による容積率は(道路幅員)×(低減係数)で求められます。
一般的に低減係数は、用途地域が住居系の場合0.4、その他の場合0.6と定められています。
例えば、
住居系の用途地域で敷地面積が60㎡の土地があるとすると、前面道路の幅員が
- ●4mの場合
4m(道路幅員)×0.4(低減係数)×100=160%
- ●6mの場合
6m(道路幅員)×0.4(低減係数)×100=240%
共同住宅を建築する場合で考えてみると、
4mの場合 ⇒ 20㎡の居室が4戸
6mの場合 ⇒ 20㎡の居室が7戸
計画できることになります。
※前面道路の幅員が4m未満(2項道路)の場合は前面道路幅員を4mとみなして計算します。
原則として、容積率の限度は各自治体によって定められている「指定容積率」によります。「道路幅員による容積率」と「指定容積率」を比較して、より厳しい値を容積率の限度としています。
例えば、
住居系以外の用途地域で指定容積率が300%、敷地面積が100㎡の土地があるとすると、前面道路の幅員が
- ●4mの場合
4m(道路幅員)×0.6(低減係数)×100=240%
(道路幅員による容積率240%)<(指定容積率300%)
指定容積率より道路幅員による容積率のほうが厳しいので240%が適用されます。
- ●8mの場合
8m(道路幅員)×0.6(低減係数)×100=480%
(指定容積率300%)<(道路幅員による容積率480%)
道路幅員による容積率より指定容積率のほうが厳しいので300%が適用されます。
共同住宅を建築する場合で考えてみると、
4mの場合 ⇒ 20㎡の居室が12戸
8mの場合 ⇒ 20㎡の居室が15戸
計画できることになります。
こうしてみるとその土地がどの用途地域に分類されていて、前面道路の幅員が何mあるのかによって同じ広さの土地でも建築できる建物の規模が変わってくるため、不動産の価値が大きく変わってしまいます。
収益性や立地の条件でその土地の価値を決めてしまいがちですが、土地についての基本的な知識を知っておくことで不動産投資の長期的なビジョンを描くことができるのではないでしょうか。